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「未来への伝言」核兵器のない世界を・・・
~町田市原爆被害者の会(町友会)編 「未来への伝言」被爆の証言を伝え、核兵器のない世界を~

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140-参-国際問題に関する調査会田岡俊次君 平成09年04月21日

140-参-国際問題に関する調査会田岡俊次君 平成09年04月21日

○参考人(田岡俊次君) 
 私は、本日は、日本の安全保障を真剣に考えます国民の一人として、軍事評論家としてお招きに応じた次第でございます。したがって、今回私が申し上げますことは、私の属しております新聞社等にはいささかもかかわりなく、私個人の観察、見解を申し述べさせていただきたいというふうに存じますので、その旨御承知おきを願いたいと思います。
 さて、本日は、日本周辺の軍事情勢と申しますか、極東ロシア軍の空洞化、それから中国軍が拡大をしておるというけれども、これは本当であるかどうか、それからまた朝鮮半島の南北の軍事バランスはいかがであるか、また米軍のこの周辺における駐留の状況はどうであるか、その目的は何であるかということにつきましてお話を申し上げたいと存じます。
 極東のロシア軍が弱体化していることは、川島局長も今若干言及をなさいましたとおりで、これは世界史上今までに例を私は思いつかないほどの極端な自壊が始まっております。日本にとりましては、十八世紀にロシアが千島あたりに出てきて、「赤蝦夷風説考」とかいうことで北方の脅威が言われまして以来、常に北方からの軍事的重圧ということは感じておったわけですけれども、それまでの長い二百年余りのロシアの脅威からやっと解放されたという安心すべき状態になったというふうに考えております。
 かつてのソ連は、ここにございますとおり、人口が二億九千万人ございましたけれども、現在は一億四千九百万人というわけで、日本よりも二割多い程度のかつての半分という人口になりまして、GDPも、現在の日本円にしますと四十八兆円程度、日本の十分の一程度という小さい貧弱な国になってしまいました。
 そういうわけで、ロシアの兵力もかつては四百二十万人ほどおりましたのが現在百二十万人、つまり三百万人減ということになりまして、極東は特にこれがひどくて、下士官、兵の欠員が四〇%、これは徴兵を忌避する人、それから徴兵の対象外になる人が余りに多いということでこういった極端な兵力減に至っております。
 ロシアの国防費も、九二年、これはソ連が崩壊した翌年の最初のロシアとしての予算ですけれども、このときと現在と比べますと、額面では二百九倍という極端なふえ方をいたしておりますけれども、その間物価が千八百三十倍でございますので、実質はわずかに九分の一に減少する一兆八千億円、およそ日本の防衛予算の三分の一程度というふうな値になっております。
 特に問題なのは、食糧費が不足いたしまして、この食糧費というのは日本の今の役所で問題になっております食糧費じゃなくて、本当に食うための食糧費でございまして、これが必要量の三分の一しかないというわけで、九三年の二月には、ウラジオストクにあります海軍の士官候補生学校で栄養失調で二十数人が倒れて入院をしまして、そのうち四名が死亡する、太平洋艦隊司令長官がその責任を問われて更迭されるというふうな悲惨な事件も起きております。
 給料は、特に軍人の給与の遅配、欠配がひどいということはもう評判でございます。昨年十一月に海上自衛隊の招待でロシア太平洋艦隊司令官のクロエドフ大将が日本に来られましたので、うちの記者がこの方にインタビューいたしまして、遅配、欠配がひどいというふうに伺っておりますが、これは本当でございましょうかと聞きましたら、いやそれは全く本当でございます、私もことしは七月からまだ給料をもらっておりませんということをおっしゃるので、それはやはり今まで情報だったけれども、司令官自身が新聞記者に直接話すんだからこれほど確かなことはあるまいというので、我々も大笑いをしたような次第でございました。
 そういったわけで、ロジオノフ国防相が今度近く来られますけれども、彼はロシアは二〇〇三年までに防衛能力を完全に失うに至るであろうということをおっしゃっております。日本の防衛白書を見ましても、大体この傾向ははっきりしておりまして、防衛白書というのはえてして、よその国の脅威をできるだけ言って予算をとろうとするものですけれども、これもずっと長年同じ比較をしますと、おのずと出てまいります。
 ここにありますように、陸軍兵力は五一%減、水上艦が四五%減、潜水艦が五七%減、作戦機に至っては六三%減というふうにどんどん減ってきています。これも、まだ現在形として残っておるものだけでございまして、実際上動けるかと申しますと、海上自衛隊が昨年視認いたしましたロシア艦艇はわずか九隻。この九隻と申しますのは、出も入りも一隻ずっと数えますから、実際は五隻でございます。ピーク時の八七年には百四十一隻出ておりました。極端に減っている、ほとんど動けない。
 それから、航空自衛隊のスクランブルにもこれはあらわれておりまして、八四年には九百四十四回こちらの戦闘機が出動しておりますけれども、昨年は二百三十四機、約四分の一にこちらの出す戦闘機数が減っております。これは、もちろん全部がロシアに対するものじゃなくて、間違って入ってきます、接近してまいります韓国とか台湾とか、それからまた米軍機が間違ってコースを外れて飛んでおるとか、そういうこともございます。それも入れましてこちらが出した数が二百三十四機でございます。
 極東におります、この極東というのは、今までしばしば印象としては間違うもとでございまして、日本の近くだと思いますけれども、防衛庁の言います極東の定義は、カムチャツカ半島からバイカル湖の西までの広大なエリアでございます。これは、かつて日露戦争のころから満州正面のロシア軍のことを極東と言っておりまして、それですから、現在もバイカル湖の西までが極東というふうになっておるわけです。この広い極東の範囲内におりますロシア空軍の戦闘機が三百機、それから攻撃機が三百機程度だろうというふうに、これはミリタリーバランスの見積もりでございます。日本が三百七十機ですから、実は余り変わらない程度になってきている、実力的には変わらないと私は見ております。
 九五年のソ連の全体の戦闘機生産が三十機ほどだと言われております。第一線で十五年使われるといたしますと、トータルで四百五十機ほどたまるかと。そのうち、三分の一ぐらいは大体伝統的に極東ですから、そうすると向こうは百五十機ぐらいになるのかなと。日本の半分程度ということに相なると思います。
 特に問題なのは、部品の不足、燃料の不足から来るパイロットの訓練でありまして、年間二十時間ないし三十時間というふうにロシアで報道されております。これは、アメリカ空軍が二百四十時間、自衛隊は若干一時減りまして百五十時間程度飛んでおります。二十時間、三十時間では離着陸の腕も確保できない。これは自動車で考えましても、例えば月に二時間、三時間しか乗らない人というのは、とても危なくて横に乗せてもらうというのは嫌なわけですけれども、ましてや戦闘機パイロットはこれじゃもうどうにもならないという状況になっております。
 こういったわけで、ロシアというのは、軍事力は核を除いてもうぺしゃんこでございまして、アメリカに異様にといいますか、接近をして何とか世界で認めてもらおうというところがございまして、アメリカとロシアは今や同盟国だということを公言いたすに至りました。昨年の四月にも、クリントン・アメリカ大統領がモスクワに参りましたときに、米ロは今後も同盟国であり続けるということを演説しておられます。実際、アメリカ軍とロシア軍は共同訓練も盛んにやっておりまして、特に日本のそばでは、沖縄におりますアメリカの海兵隊、これが九四年にはウラジオストクの近くに参りまして、ロシア太平洋艦隊の海軍歩兵部隊と一緒になって上陸作戦訓練をする。
 九五年は対日戦勝五十周年記念でございましたので、今度はロシアの海兵隊がハワイへ行きまして、ハワイでアメリカ海兵隊と一緒に共同の上陸作戦訓練をする。対日戦勝記念日に米ロの海兵隊が上陸演習をするというと、これはどこをねらっておるのかねというような皮肉も我々は言っておった次第でございます。もちろん、これは別にどこと日本をねらっているわけでもなくて、ただ、たまたまそのときやったということでございましょう。昨年もウラジオストクの近郊でアメリカとロシアの海兵隊がまた一緒に共同訓練をいたしております。
 じゃ、ロシアが今こういうふうにだめだとしまして、将来また共産党政権が復活するとか、もしくは右翼軍事政権が復活してロシアが強くなるんじゃあるまいかという懸念を表明する方が、特にアメリカでも見られますけれども、よく考えてみますと、かつてソ連がどうしてだめになったかといいますと、結局は言論統制、官僚支配、それをやっている限りは、第二の産業革命である情報革
命には乗れっこない。だから、どんどん下降をしてまいったわけで、結局専制体制を復活すれば過去の下降カーブを再現するにすぎない。
 ですから、ロシアが専制主義になって、さらにまた強くなるということはどうもありそうもない。じゃ、市場経済でどうかといいますと、民衆に市場経済の経験が乏しい、余り商才があるようには思えませんので、結局はロシアというのは今後もどんどん低迷を続けるのであろうなというふうに私は考えて、そう心配いたしておりません。
 さて、問題は中国の方でございまして、中国に関しましては、一般には中国の軍事力の拡大ということが言われるのでございますけれども、それは一つは、一九九〇年ごろから盛んにアメリカの中でそういう説が出る。それ以前、八〇年代はアメリカは中国の武器の近代化を一生懸命支援いたしておりました。
 そのころは、ソ連に対抗するチャイナカードというのを使うために援助をいたしまして、例えば中国の戦闘機でありますF8のⅡ型、これも失敗作だと思いますけれども、グラマンと共同開発をいたしておりました。ところが、ソ連が崩壊したものですから、軍としてはやはり何か脅威がないと説得力に欠ける、予算をとるにも同盟国の協力を求めるにもまずいというわけで、何か突然中国だ中国だという話が出てまいった。
 その一つの証拠のようによく言われますのは、公表国防費が急増しておるというふうに言うわけですけれども、ここに表をお示ししましたとおり、九三年が一四・九伸びたといっても、その年の消費者物価の上昇率は一四・七じゃないかと。その次の年に至ると、二二・四%伸びたと騒いだけれども、実はインフレの方が二四・一%で、実はマイナス二%であるというふうな状態でございます。これは九六年、事前にお配りしました資料では六・一%になっておりますが、これは小売物価で、正しくは八・三%でございます。八・三%昨年の消費者物価は上昇しております。
 ことしは一五・四%防衛費はふえておりますけれども、インフレを何とか六%程度に抑えたいというのが中国政府の目標で、しかしアジア開発銀行は一四%程度になりはせぬかと言っておりますから、どの程度本当にふえるのかというところは注目されるところでございます。
 やや長期的に見ますと、過去十年間、八六年から九六年の間に国防費は三・五一倍に額面でふえておりまして、この間の物価上昇率は三・〇八倍でございます。これは二とございますけれども、これは違っておりまして、三・〇八倍でございます。そうしますと、この十年間で四三%の増、年率でおよそ四%の増というふうなことでございます。
 特に注目されますのは、中国が軍事基地を将来ふやしたくてもふやせるかどうかということを考えますときに、歳入がどうふえているかということがポイントなんです。この十年間で歳入は額面で三・二六倍ふえておりますけれども、その間の物価が今申しましたとおり三・〇八倍の増で、実質はほとんどふえておらないじゃないかと。名目のGNPは約七倍になっているにもかかわらず、歳入の方がその三倍余りでしかない。これは非常に異常な話でございますけれども、これは一つは、中国が国家的な全国的な徴税機能を欠いておりまして、地方に末端の徴税は依存せざるを得ない。ところが、地方の官憲の不正、腐敗が非常に横行いたしておりまして、それからまた、もちろん国民も脱税をするというわけで中央政府に金が入らない。中国では現在、流行語は「上有政策、下有対策」、上に政策あれば下に対策ありというのが中国の流行語になっているようなところでございますから、皆が悪いことをするので中央政府の歳入がふえない。
 というわけで、国防費も言われているほどにふえているわけじゃなくて、ことしなるほど一五・四%ふやしたといっても、実はそれは日本円にしまして一兆二千億円程度。防衛予算が四兆九千億ですから、防衛予算の四分の一もないというところでございます。もちろん、このほかに科学技術の振興費が兵器開発に使われるのじゃないかとか、いや軍の副業収入もあるじゃないかと、それを入れれば三倍程度にはなるだろうという見方もございます。
 ただ、これは中国軍の経費が不透明だというのは確かなので、例えば内訳がどうなっているのかを言わないというところで非常に不透明なところはあるのでございます。ただ、これは各国とも予算の立て方が違うというところが時にありまして、日本の場合でも、防衛予算の中に軍人恩給が入っていないじゃないかとか、自衛隊の退職者の年金も入っていないじゃないかとか、科学技術庁のロケット・衛星開発費、あれも本当は防衛費じゃないのとか、それから海上保安庁予算もあれは防衛費じゃないかとか、外国から見れば日本も何か小さ目に言っておるよと。一%以下と言っているけれども、実は一・五%以上は使っているはずじゃないかというようなことを向こうの方は必ず言うわけで、国によってもちろん若干そういったことは常にあるところでございます。
 特に中国の場合、武器輸出による利益、これを新しい兵器を購入するための外貨の原資に充てておったということ、これは多分間違いないと思うんですけれども、それを含めますとかえって中国の軍事費の伸びは減ってまいります。と申しますのは、かつてイラン・イラク戦争中に中国は非常に両方に売り込みまして、八八年には三十六・四億ドルの輸出を記録しておりました。これが九五年に至りますと、わずか六億ドルというわけで六分の一に低下する。
 これはイラン・イラク戦争が終わりましたことと、それから世界的にも軍事費を冷戦が終わって使わなくなり、さらにロシアが財政、経済に困るものですから、本来のロシア製のオリジナルな兵器をどんどん安値で売り出す。そうすると、中国はロシア製のコピーを売っておったわけですから、同じような値段でロシア製の本物を買えるならだれも中国のものは買わないというわけで、中国の商売は上がったりということになりまして結局六分の一に減ってしまう。これを含めると、本当は中国の国防費はむしろ減っているということだって考えられるというふうに思います。
 ですから、もう一つは、ロシアから支援戦闘機を買った買ったという人がおります。ただ、そう言って騒いでいる人は何機買ったかということを絶対に言わないという点が非常に特色でございまして、実は九二年以来総計で五十機買っただけでございます。これは一機四十億円もしますので、中国の一人当たりGNPが日本の六分の一程度ですから、日本にしますとあたかも一機二百四十億円の戦闘機を買っているというわけですから、とてもそんなに買えるものじゃない。そこで、細々とやっと五十機程度を買いました。
 ですから、今後ライセンス生産をしてふやすんじゃないかという説も一部にございますけれども、実はライセンス生産をしてもそうそう安くなるものじゃございません。レーダーとかコンピューターとか、エンジンとか、それからあとはチタニウムの部品とか、こういったものは中国ではできませんでしょうから、これはすべてロシアから輸入せざるを得ない。それから、組み立てる人件費にしても、今はロシアと中国はさほどの差がなくなってきておるということを考えますと、余り買えるものじゃなくて、今までのいろんな見積もりがありますけれども、せいぜい二百機程度かなというふうに思います。
 現在中国軍は、およそ五千五百機の戦闘機を持っておりまして、これはほとんどすべてがミグ17、19、21、一九五〇年代にソ連で初飛行しましたもので、その後中国で国産したものです。これはもう全部退役の時期を過ぎておりまして、この五千五百機を全部これからもう間もなく捨てなくちゃいけない。そのときに、かわりに五十機程度買ってどうするのという程度のものであろうと思います。
 ただ、この五千五百機の戦闘機というのはもちろん過大兵力でありまして、アメリカでも現在、
海軍、空軍、海兵隊を合わせまして四千八百機。ですから、五千五百機も要らないわけです。ただ、中国が将来も東の台湾、それから韓国が統一すれば韓国正面、ロシア正面、それから南のベトナム正面、こういったものに備えて首都等の防空をするということを考えますと、少なくとも千機程度は要るんであろうなと、日本の三倍。日本が三百七十機、韓国が四百機程度、台湾も三百数十機新しいのを持つということを考えますと、まあ千機程度は要る。
 そうしますと、戦闘機が十五年もつとしまして、年間で六十機か七十機の調達をしなきゃいけないはずである。ところが、それが九二年に買い出して以来、今までたった五十機しか買っておらないということを見ますと、これは中国軍は一般に言われております増強と違って、むしろ急減の方向にあるというふうに見るべきだと思います。
 海軍も現実には相当な減少を示しておりまして、主力であります潜水艦は、八〇年代には百十隻ほどジェーン海軍年鑑によればありましたけれども、現在で六十二隻。しかも、この六十二隻のうちのほとんどを占めます三十八隻の潜水艦は、これはソ連で昔設計しましたロメオ型という潜水艦ですが、これのもとは実に一九四四年にドイツで設計されましたUボート21型で、これをソ連が、戦後アメリカと対立しましたから慌てて海軍をつくるときに、そのドイツの設計をコピーしてそのW型をつくり、その改良型がロメオで、それが中国で再コピーされたというものです。もうとてもこんなものは、今何かに使える意味があるとすれば、ドイツがもう一度Uボート映画をつくるときに、借りてきて出せばよろしいという程度のものが中国の潜水艦隊の今でも数的には主力でございます。
 しょうがないので、中国としてもディーゼル潜水艦キロ型をロシアから二隻買い、さらに二隻入るという話ですが、これでもパッシブソーナー、聴音装置等の性能は西側のものに比べれば相当劣っているものだと思います。日本は近代的潜水艦を十六隻持っておりますから、これはもう勝負にも何もなりません。
 それから、水上艦も九〇年に六十三隻ございましたけれども、現在で五十一隻、大分減っております。しかも、近代的なものはルフ型というものが二隻ございますけれども、これはエンジンは八〇年代にアメリカから買いまして、レーダー等はフランス、オランダその他から買って組み立てたようなものですけれども、これは結局輸入がとまりましたのでつくれません。やむなく今度はロシアからソブレメンヌイ級というのを二隻買うという話でございます。
 これに対しまして、日本は近代的な護衛艦五十九隻、P3C百機近くを持っておりますから、ですから中国海軍が日本の海上自衛隊の敵でないということは、これはもう火を見るよりも明らかだということであろうと思います。
 実は、防衛庁の中国問題の専門家たちはこのことをよく知っておりまして、防衛白書は一見すると何か中国が強くなっているような印象を与えるけれども、詳しく見てみればどこにも増強という言葉は彼らは使わない。結論部分では「中国の軍事力近代化は、今後も漸進的に進むものと見られる」というふうに書いてございまして、この近代化が「漸進的に進む」というのは、実は増強どころか近代化すら遅々として進まずということを熟知している専門家が、そうは書きにくいからこういうふうにちょっとうまく書いたというところでございます。
 中国は、数的には激減するんだけれども、近代兵器が入ってくるから強くなるんじゃないかということを言われる方もいらっしゃいます。しかし、近代化というのは両側にかかるファクターでございまして、よその国も近代化しているわけです。ですから、戦力というのは相対的なもので、結局近代化のスピードにおいて台湾とか韓国に比べればはるかに低いということで、ますます中国は差をつけられつつあるというのが実態でございます。
 台湾の方は、F16を現在百五十機発注中で、やっと最近二機着きました。フランス製のミラージュ2000を六十機、それから国産で結構いい戦闘機「経国」号、これを百三十機製造中でありまして、今のところもう圧倒的に優勢というふうになりつつあると思います。海軍の方も、アメリカの設計のフリゲート艦「成功」型を七隻、それからフランスの一番新しいタイプのラファイエット級を六隻、それからアメリカのノックスクラスが今九隻入っております。こういったわけで水上艦も非常に近代化している。
 もともと海空軍は、中国と台湾と比べますと台湾の方が優勢でございまして、優勢だからこそ金門島、馬和島という大陸に張りついた島を確保できた。あれは、中国にとりましては本当に目の上のたんこぶというところでございましょう。金門島はアモイの港の入り口に、もうすぐそばにございまして、アモイの港から出た途端に撃たれるという形になっております。それから馬和島の方は、これは福州の湾口にありまして、これもあたかも、例えば軍隊でいいますと駐屯地の正門前に何か敵が陣地をつくってそこに機関銃を構えてねらっておるというような形になっておりますので、これは中国としては非常に悔しい。
 そこで、一九四九年に全土を人民解放軍が支配する前ですけれども、あそこに攻めかかりまして、一万人ほど上陸させましたところが、五千人が戦死し、五千人が捕虜になるというわけで全滅しました。五八年にも猛烈な砲撃をやり、制空権をとって孤立させてとろうとしたんだけれども、そのときは台湾空軍は実に三十二対一という撃墜比率のスコアを記録しまして、それで制空権を守り抜き、結局金門島はそれ以来ずっと落ちない。現在でも金門島には三個師団ないし四個師団、それから馬和島に二個師団相当を配備しております。
 中国の上陸能力というのは、これは台湾の軍隊の見積もりでは、漁船とか商船全部をいろいろ動員したところでせいぜい二個師団、三万人だなというわけですから金門島すら落ちない。まして台湾本島には台湾陸軍が二十四万人もおりますから、これはもうとても上陸作戦は不可能、自殺行為であろうと思います。
 中国の一番の問題点は、むしろ軍隊が強くなっていることより軍人が商業化して市場経済の波に乗り、金もないものだから、とにかくむちゃくちゃな商売を始める。三百万人の軍隊に二万の企業がある。百五十人に一社というふうなむちゃくちゃなものでございまして、それが観光客相手の射撃場をやるとか、それから軍の電波を使ってポケットベル会社をやるとか、輸送部隊がトラックを使って運送会社を始める。例えば日本関係のおもしろい話では、九二年十月二十一日の朝日新聞に、黒百合ジャパンというのが人民解放軍から功労勲章をもらったと。これは何かといいますと、黒百合という育毛剤を中国軍がつくっておりまして、これは中国の軍事医学科学院かなんかが発明をしまして、それで中国軍の工場でつくっておる。それを輸入元が三十億円売り上げたというので、何か中国軍の勲章を日本の会社がもらったというふうな笑い話もある。
 それぐらい、これぞまさに中国軍というところでございまして、非常に経済がだんだん分立する中で、軍までこういうふうな商業活動をするということは非常にけんのんなことだというふうに思います。中国としてもそれはよく知っておりまして、転勤をさせようとするんですけれども、将軍の中にはもうかるところに居座るために、上に上げると言っても、いや小生は浅学非才にしてそのような重責にたえないとか何か言って居座るような人もいるというわけですから、軍がそこまで商業化する。
 それから、中央政府の税収がどうも不思議なほど上がらない、それから転勤拒否も起きるということになりますと、公然たる分裂でなくても、何かひそかな分裂みたいなことがもう既に起きつつあるのかなということまで私としては若干懸念を
せざるを得ないところでございます。
 朝鮮半島につきましても、一般には緊張が伝えられておりますけれども、実はよく本質を見てみますと、あれは北朝鮮が一方的に弱くなっているというだけの話でございまして、ソ連が九〇年に韓国と国交を樹立し、中国が九二年に国交を樹立するというわけでロシアからの石油の輸入がばったりになってしまう。中国の方は少しは出しておりますけれども、自分の方も石油、食糧の輸入国ですからそうそう支援はできない。
 というわけで、北朝鮮のパイロットは、九二年には実に年間四時間しか飛ばないというふうなことも言われておりました。これは本当かなと思っておりましたけれども、昨年五月に亡命してまいりました李・チョルス大尉が、勤続十年間で飛行時間が三百五十時間、すなわち年間三十五時間平均。幾ら何でも年間三十五時間ではパイロットになれませんから、最初のうちはもっと飛んでおったわけで、ですから、これは最近ほとんど飛んでいないということを彼の発言も示しておるというふうに思います。
 さて、そういったわけで、航空戦力におきましては、アメリカと韓国軍を合わせますと大体六百機、それに対して北朝鮮の方は、第一線として何とか使えそうなものは百機程度でございまして、数で六対一。さらにパイロットのトレーニングが違う、電子装備が違う、搭載兵器の質が全く違う、情報能力が違うというふうに、これの積が戦力になりますから、実際には航空戦力は数百倍の差があるというふうに思います。戦車に関しても似たようなものです。
 一九五〇年の朝鮮戦争とはもう全く違っておりまして、あの当時は北朝鮮軍が圧倒的優勢で韓国軍には戦車もなければ航空機もほとんどない、地雷もなければ陣地もない、対戦車火器も有効なものがないという状態で攻められまして、そこでソウルへ三日で突入されたわけです。今回は航空優勢が圧倒的であり、それからこの四十年間営々として陣地を築いてきておる。兵力的にも数においても実際上は遜色がない。それから、兵器の性能では南が上というわけですから、これがもしも戦になれば、まずならぬとは思いますけれども、なった場合にはあっという間に韓国軍に北朝鮮軍はやられて、つぶされてピョンヤンは占領されてしまう。
 これは、五〇二七号という作戦計画を九四年の三月に韓国の国防大臣が議会国防委員会で説明をしまして、そのときにもソウル近郊で敵の戦力を撃砕し、それからピョンヤンをとり、ピョンヤンの北八十キロの清川江岸まで行って、そこで一時停止するという作戦計画を堂々と説明しているぐらいでございます。もちろんミサイルがソウルに若干飛んでくるとか、砲撃で死傷者が出るとかいうことはございましょうけれども、結局は韓国が勝つことは疑いないと思います。
 日本にとりまして問題なのは核弾頭があるかどうかです。これは、九一年末までにプルトニウム一、二発分を取り出した可能性はございますけれども、その起爆をするためのインブロージョン、爆縮技術の完成を試すためには、多分北朝鮮の技術では、コンピューターではできないから実験をしないといかぬでしょうけれども、もちろん実験はしておりません。
 それからさらに、弾頭にするためには、スカッド系列ミサイルですと直径が八十八センチですからそれ以下にしなくちゃいけない、弾頭の重量も一トン以下にしなくちゃいかぬというふうになると思います。ところが、なかなかそうするのは難しいようで、インドが最初に核実験を七四年にしましたときは、小屋ぐらいの大きさがあったという話ですし、アメリカが長崎に投下しました最初のプルトニウム原爆MK3、これは重さが四・九トン、直径が一メーター五十もあるものでございました。ですから、これがもしもできたとしてもミサイル弾頭にはなるまいというふうに思います。
 化学弾頭の方は多分あると見た方がいいんでしょうけれども、これは対策があると効果が割合少ないものでございます。例えば、松本の場合には死者が七人出ましたけれども、東京で密閉状態で使ったけれども、そのときはもう対策がかなりわかっておりましたから、あれは死者十二人で何とか食いとめております。
 じゃ、ノドンがあるかどうか、今もこれがイシューになっておりますけれども、ノドンは九三年の五月末に最初のテストをいたしました。それは射程が五百キロ出た。その後四年たちますが、二回目の発射実験を行っておらない。これは、もしも本当に開発をしているのであれば数十発は撃たなくてはならない。数十発撃って、そこで欠点を発見して、それから量産に移って配備になるというのが手順でございまして、これはいかに非常識な国だといっても、そういった物理的なものはごまかすわけにはいかない。
 仮に実験もせず、いきなり配備しますと、発射ボタンを押してもどこへ行くかわからない、そこで爆発するかもしれない。当然数十発は撃つものだろうと思います。だから、毎月のように撃って二年三年やれば、これはいよいよ完成するかなということになりますけれども、実は四年たっても全然撃っていないということを見ますと、ああこれは多分まだ金がないか技術がないかで、どうもあれはやめたらしいなというふうに私は判断をいたしております。
 むしろ問題は、韓国軍が最近、統一は近いというふうに見まして、次の防衛力整備計画で、これは九八年から二〇〇二年までですけれども、これが完成しますのは大体二〇〇五年とかその辺にそういう装備ができてまいるのでしょう。ですから、そのころまでに北朝鮮の脅威なんか言っておっても予算がとれませんものですから、だから周辺諸国と言い、特に日本ということも時には使って、それに対する防衛ということを盛んに言い出しました。
 次の中期防の韓国の計画は、百兆八千億ウォンで大体十四兆円、これは日本の九六年からの中期防の五六%という相当な巨費、GNPが日本の六分の一にすぎないのに日本の半分以上を使う。それで、年間装備費に至りましては七千八百億円ほどになります、日本は九千百億円ぐらいですが、また日本の武器は少数生産でやたらに高いものですから、それから天下り等もあって高くなっています。ですから、大体対等かなというふうに思います。
 この下敷きになっております韓国国防省附属機関の国防研究院の「二十一世紀を目指す韓国の国防」というのが一昨年の七月に出ておりますけれども、これは千五百キロ圏での空域を統制し得る航空戦力、すなわちこれは日本列島上空で制空権を確保するという計画でございます。これが北京や上海ですと千キロを割りますから千五百キロということになりません。これは明らかに日本を念頭に置いておるなと。
 海軍の方は、遠洋での作戦を立体的に行い得る機動部隊の建設をするというわけで、アメリカ軍の将校に対しましても、例えばこの装備を買いたいと。そんなものは要らぬでしようというふうにアメリカが言うと、いや対日戦争のときに要るんですということを韓国軍の軍人が公言するということは、アメリカのいろんなソースから私も聞いているところでございます。軽空母もつくるとか、潜水艦を現在九隻建造中ですけれども、千二百トン級はこの九隻でやめて、次は三千トン型の潜水艦をつくるというふうなことを言っております。
 こういったふうに、むしろ韓国が今のところそういう日本との戦争ということを言い出しておるということは、実際にはもちろん戦争にはならぬだろうと思います。統一しても経済が大変ですし、また中国との国境は今の二百四十キロが千二百キロぐらいになりますから、そうそうこちらに向かえるわけはないと思いますけれども、彼らの方がそう言い出しているということは、一般に認識されておらない一つのファクターとして考えた方がよろしいというふうに思います。これは今、森本先生が、感覚が似通った国としてオーストラ
リア、韓国を含めた安全保障体制とおっしゃったので、あえてここのところはちょっと申し上げた次第でございます。
 じゃ、時間が来ましたので、また後ほど御質問にお答えしてお話しをさせていただきたいというふうに存じます。
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  1. 2008/01/24(木) 20:10:39|
  2. 横田エリアを無くそう--国会議事録でみる「米軍」「空域」「横田」|
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